生成AI時代でも色褪せない「人間力コンサル」のすすめ

生成AIがあらゆる業務を置き換えつつある中でも、マネジメントコンサルティングは“人間力”を武器に独自の価値を発揮し続けられます。 本記事では、AIに代替されにくいコンサルタント像を描きながら、プロジェクトでの立ち振る舞い・自己開示の重要性・ITリテラシーの高め方・趣味の深掘りまで、具体例を交えて解説します。

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はじめに:生成AIブームの最中で思うこと

ChatGPT をはじめとする生成AIは、すさまじい速度で私たちの仕事に入り込んでいます。

テキスト要約、データ分析、資料作成… 「コンサルタントもいずれ不要になるのでは?」 そんな声すら聞こえてきます。

しかし私は、マネジメントコンサルティングこそ “人間力” をフル活用できる、AI には置き換わりにくい領域 だと考えています。本記事では、その理由と具体的な立ち回り方を、実体験を交えつつご紹介します。


1. なぜマネジメントコンサルは AI に代替されにくいのか

  • 複雑な利害調整:組織文化・政治的背景・人間関係が複雑に絡み合う場面では、AI のロジックだけでは解決できない「空気の読み合い」が必須。
  • 感情の伴走:変革プロジェクトは痛みを伴います。抵抗勢力の気持ちに寄り添い、前向きに巻き込むには共感力が不可欠。
  • 未知の課題設定:そもそも “何を問題と定義するか” があいまいなフェーズでは、過去データの学習結果で動く AI より、人間の想像力・洞察力が物を言います。

つまり、「人×組織×ビジネス」 のダイナミクスを読み解き、最適解を導くプロセスは、依然として人間の腕の見せどころなのです。


2. 大前提:自律的に高品質アウトプットを出す

人間力を語る前に、まずは当たり前の話から。

“言われたことを時間通りにこなす” を超えて、プロジェクト全体を俯瞰し、自律的にギャップを埋める。この習慣がないと、どんなに社交的でも信頼は得られません。

例として、私はある基幹システム刷新プロジェクトで、要件定義が迷走し始めた段階で、「そもそもPJの目的の振り返り」 や「ユーザーストーリーを書いて全体像を可視化する」 ことを提案し、PMOの枠を超えて実行することで、以降の議論が劇的にスムーズになり、クライアントから信頼を獲得した経験があります。


3. “戦友” 関係を築く:仕事+α の自己開示

高品質アウトプットがベースにある上で、プライベートな自己開示 が効いてきます。

単なる「発注者と受注者」を超え、「変革に挑む戦友」 として認め合うには、相手の人間味を知ることが不可欠だからです。

たとえば私は、サウナと美味しいお酒・食事が趣味ですが、訪れたサウナの温度や湿度、さらにはその後に味わう一杯のお酒について、細かい記録をつけるほどに熱中しています。

あるクライアントがクラフトビールや焼酎・ウイスキーに詳しいと知ると、香りやテイスティングの話題で意気投合し、プライベートでもお付き合いするようになることで、今では戦友として一緒にビジネスを展開・拡大する関係を構築することができました。

ポイントは “にわか” ではなく、相手に薦められるレベルまで深掘りすること。薄っぺらい知識では逆効果です。


4. ステークホルダの視座に合わせ、覚悟をもった意見の発信

PMBOK等のフレームワークやPMP等の資格はあくまで道具。重要なのは、ステークホルダーの経験・思考様式・性格に合わせて言葉と進め方を変えることです。

ある公共系プロジェクトで、形式を重んじる部長には稟議向けの PMBOKやEVMに準拠した管理方針を提示したり、守りではなく攻めの傾向にある幹部社員向けに、複数案ある場合ではリスクはあるがもっとも効果が出やすい可能性のある案を提示するといったアプローチが考えられます。

ただし、それは本当にプロジェクトにとって有益であることかどうか、ちゃんと吟味することが重要であり、時にはたとえ相手が歓迎しない案でも伝える勇気が求められます。

客観的な目線でメリット・デメリット・トレードオフを丁寧に提示 すれば、感情的対立を最小化しながら、そのPJにとって最適な意思決定を支援することができます。


5. 高品質なマネジメントのためのIT基礎知識の獲得

クラウド・セキュリティ・CI/CD… 技術キーワードは日進月歩。

単なるPMOから卒業するには、細かなコードを書けなくても、基本設計〜アーキテクチャ検討で適切な議論や質問ができる程度の知識は必須です。

PJの設計書を読み込み、不明点をクリアにするこで着実に技術を身に着けられます。(不明点をクリアにするには、基礎知識は生成AI等で学習し、PJ固有の内容は先輩に聞くようにしましょう)

日々のニュース等で業界の動向や新たな技術にも目を向け、より視点を増やすことも重要です。


6. "個"からの脱却(会社・チームとしての視座)

クライアントは幹部クラスが多く、個人の意見だけでなく「会社やチームとしてどう考えるか」 が求められます。

日頃から自社の上位者と「会社を良くするには?」を議論し、財務・組織・市場の視点を鍛えておくことで、クライアントともPJを超えた対話ができ、よりよい関係の構築が加速します。



おわりに:クライアントとの戦友関係で築く、AIに代替されない未来

生成AIが業務の一部を効率化する時代において、真の勝負はマネジメントコンサルタントとしての専門性と人間力にかかっています。単なるツールの補完に留まらず、クライアントと真摯に向き合い、企業の変革を共に乗り越える“戦友”となることで、私たちはAIが真似できない深みと信頼を築くことができるのです。

これからも、「高品質アウトプット → 自己開示 → 技術リテラシーの向上 → 会社・チームの視座」の循環を意識しながら、クライアントとの真のパートナーシップを追求してください。

結果として、マネジメントコンサルティングは、AIでは置き換えられない唯一無二のビジネスとして、新たな価値を提供し続けることでしょう。

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木原 健志
Director

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